スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2012年08月19日

TPPで私達の暮らしは・・・

『食の安全』崩壊の危険性 (現代農業9月号より)

去年3月、アメリカ政府は日本政府に対して規制緩和などを求める新たな要望リスト
【日米経済調和対話】というものを送りつけてきました。
この要望リストにはあらゆる分野にわたり事細かな要求がかかれており、
これがTPP交渉の21分野と重なります。

この要望リストの中では、
食品添加物についても触れられています。
アメリカが使用する添加物で、日本で認められてないものを早く認めろと言ってきています。

日本で認可している食品添加物は約800品目、それに対しアメリカは3000品目です。

すでに政府はアメリカからの指定要求に従って46品目をリストアップし、
指定している有り様で、行政刷新会議は認証手続きの簡素化、
迅速化の為のルール整備を行うと発表しています。

日本には、食品添加物は体にとって異物であり、極力使用を制御すべきという
国会付帯決議(1973年)があるそうです。当初、政府は企業の申請で新しい添加物を一つ認可すると、
使用実態でなくなった添加物一つ削除して増やさないようにしていました。

しかし、加工食品の輸入が増大する中で、添加物の許可申請も増えていきました。
さらに、中国から輸入した岩塩に固結防止剤であるフェロシアン化ナトリウムが見つかった(2002年)
のがきっかけで、企業からの申請なしに政府自ら認可していくようになりました。
フェロシアン化ナトリウムは未承認添加物。
本来なら、輸入禁止措置をとるべきところですが、
欧米からの輸入食品にもこれが使用されているのがわかり、
輸入をストップすれば貿易問題になるとあわてて認可したのです。

その後、政府自ら輸入食品に使用される食品添加物のデータを集め
どんどん認可するようになりました。

今でさえ食品添加物の数は懸念されるレベルなのに、TPPに参加した場合、
輸出国が使用する添加物をすべて認めざるを得なくなります。
認めた添加物は、当然国内食品での使用も認められます。
その結果、大量の添加物の取り込みが、私たちの健康、
とくに子どもにとって大きな影響が出ることが心配されます。

添加物は一品目ごとに安全性評価がなされて使用基準が決められているので
食べても安全とされています。
しかし実際は、一つの食品の中にいくつもの添加物が含まれているうえ、
いくつもの食品を同時に食べます。
体内に入った複数の添加物の複合毒性、相乗毒性は調べられていません。

イギリスの実験では、添加物の保存料と合成着色料を一緒に取り込むと、
子どもの多動症を引き起こすことがわかりました。
日本でも今、多動症が増えています。


要求リスト
の中では、ポストハーベスト農薬についても触れています。
ポストハーベスト農薬とは農作物を収穫した後に使用する農薬です。
アメリカから作物を輸出するときには、米でもトウモロコシでも船底にバラ積みにします。
長い輸送距離のため、作物には当然カビが生えます。芽も出るし、虫もつきます。
このロスを防ぐために一番手軽で安いのが殺菌剤や殺虫剤などの農薬を直接かけることです。

日本国内ではポストハーベスト農薬を禁止しています。
農薬を生産中に使う場合と収穫後に使う場合とでは残留量がまったく違うからです。
生産中に散布した農薬は雨などで次第に流れ落ちます。
農薬使用については収穫△日前は使用してはいけないというルールもあります。
ところが、収穫後、雨に当たらない倉庫や船底などに入れて農薬をかければ、
ものすごい残留量になり、それが消費者の口に入ることになります。
人体に与える影響が大きいので国内での使用は法律で禁止されているのです。

しかし、ポストハーベスト農薬を使用するアメリカの農産物がどんどん輸入されるようになったとき、
厚生労働省はどのような対応をしたのでしょう?

1993年に新残留農薬基準法を施行して、
ポストハーベスト農薬の残留を許容する緩い残留基準値を設定したのです。

それだけではありません。

牛肉・オレンジの自由化のとき、アメリカから輸出されたレモンに、
日本では使用禁止のポストハーベスト農薬(殺菌剤)が見つかりました。

日本政府はこれを違法としてレモンを積み戻し処分にしたところ、アメリカは貿易障壁だ!と激怒しました。

そこで日本政府は、その殺菌剤を食品保存のための防カビ剤として食品添加物に指定し
使用を認めたのです。
食品添加物の場合は、表示義務があるので段ボール箱にはOPP、TBZ、ジフェニール、イマザリルなど
いろいろな防カビ剤の名前が書かれています。

しかし、バラ売りとなると表示義務がありません。

消費者の目にはなかなか触れません。

日本政府は国民にこのような方便を使ってきたのです。
しかし、アメリカにとってはこの食品添加物の表示すら鬱陶しいのです。
そこで今回の【日米経済調和対話】の中で、
ポストハーベスト農薬使用そのものをすべて認めるように言ってきているのです。
そうなると、国内使用も認められるようになり、
私たちが食べる食品は農薬だらけのものになる危険性が出てきます。

アメリカの残留農薬基準は日本の何十倍も緩い

日本では残留農薬基準が設定されていない農薬については
、一律0.01ppm以下でならなければならないと決めています。

ところがアメリカのとっては、この規定も鬱陶しい。

0.01ppmでは厳しいので、輸出国の基準を認めなさいといってきています。

たとえばアメリカンチェリー。
これに使用基準のある殺菌剤のキャプタンは日本の基準では5ppmですが、
アメリカの基準では100ppm。20倍緩いのです。

米に使用する殺虫剤のマラチオンの場合、日本は0.01ppm、アメリカでは8ppm。80倍です。

TPPに参加すれば、当然貿易障壁とみなされるのでこのようなアメリカ基準を認めることになるでしょう。
関税撤廃で米をはじめ安い農産物がどんどん入ってくれば、食の安全が脅かされることになります。

アメリカは有機農産物の基準を緩めさせたい。

【日米経済調和対話】では、有機農産物の基準についても触れています。
文面には

『有機農産物に使用される生産物資材の環境安全評価に、
科学に基づいた基準を適用する。
有機農産物の貿易の強化を目的に現行の残留農薬規制を修正する。
さらに両国市場において有機農産物の表示にとり組むために協力する。』


とあります。

具体的にどういう要求なのかわかりにくいです。

両国市場という点からアメリカの市場を見てみるとヒントが。

アメリカでは今、有機農産物市場が拡大してきています。
グローバリズムのコスト競争の果てに食品の品質が落ちてしまったと感じる人々が、
有機農産物を求めるようになりました。

そうした流れをみて、大手企業が設けの手段として、これに参入しようとロビー活動をしています。

このような企業が有機農産物の基準や規制を緩めようとしている、
とアメリカの有機農業者たちが警戒しています。

合成栄養補助剤投与、過密飼いの有機鶏肉、防腐剤の亜硫酸塩入りワイン、
ナノテクノロジー利用などを有機産物として認めるよう要求しているそうです。
『科学に基づいた基準』から有機農産物に使用できる農薬の拡大や遺伝子組み換えの容認も
ひそかに狙ってる可能性があります。
アメリカ議会でこのようなことが通ってしまうと、
TPPでは国際規格や輸出国基準にあわせるように強制されるため、
TTP加盟国でも同じように認めざるを得なくなってきます。

そうなれば食糧輸入国日本の食品安全は大きく後退します。
日本は消費者運動によって世界でも厳しいといわれる食品の安全基準を築きあげてきました。
それが自由貿易協定によって、特にTPPでは後退どころか崩壊させられてしまいそうです。



  続きを読む


Posted by ゆたか at 09:55Comments(3)